ひとつひとつ意味がこめられているおせち料理の品目。
その多くはことばの音からくるダジャレみたいなものですが、込められた思いは家族の健康長寿・五穀豊穣などを願う真剣なもの。
知っておくとさらにお正月を深く楽しめるのではないでしょうか。

ただ、おせちに込められた意味については諸説ありますので、ここに記したことがすべてとは限りません。

栗きんとんの意味

栗きんとん 栗きんとん=金塊です。金が増えるように財運がつくようにという願いが込められています。
金塊は洋菓子ならフィナンシェ。和食なら栗きんとん。共通点はありますが、イメージはだいぶん違いますね。

黒豆の意味

黒豆 マメマメしく、体がじょうぶでしっかりと働けるようにとの意味が込められています。
ツヤツヤの黒豆は見ているだけでもなんとなく嬉しい。よく働いて真っ黒に日焼けしている様子も表現しています。
最上級の黒豆は、やっぱり丹波の大粒のもの。秋に出回り始めるその年の新豆を使うと均等にふっくらしあがりやすいです。
(大豆アレルギーの方は黒豆も注意。)

かまぼこの意味

かまぼこ かまぼこの赤は魔よけ、白は清浄といわれています。
基本的な紅白のかまぼこを選ぶのが良いですね。
かまぼこは高級品でもスーパーの安売り品でも、食通でなければ食感やお味にそれほど大きな差を見いだせない食べ物なので、高級おせちではあえて入れないお店もあります。
かまぼこは2色のセットが多いですが、皇居では赤・白・黄・紫・緑の五色のかまぼこが用意されます。
黄色はニンジン、紫は小豆の皮、緑はほうれん草で着色します。

田作りの意味

田作り 名前通り、五穀豊穣を願うものです。カタクチイワシは江戸時代には田畑の高級肥料として利用されていたそうです。良い田んぼを作る肥料だから「田作り」
ごまめを肥料にしたらお米が五万俵もとれたので「五万米」という当て字もできました。
ごまめは生のカタクチイワシの稚魚を干したもの。
けっして食べやすくはないですが、しっかり噛んでいただきましょう。

海老の意味

海老 腰を曲げた年齢まで長く生きられるように、長いヒゲが生えるまで元気にいられるようにという長寿の願いをこめて。
最近はヒゲのおじいさんは少なくなりましたが。
艶やかな赤いエビは色合いからしておめでたいですね!赤は魔除けの色でもあります。
高級おせちではど真ん中に伊勢エビやロブスターが鎮座しているものも多いです。 ファーストインパクトはすごいですが、まあ、捨てるところも多いですね。

金柑の意味

金柑=金冠。縁起の良い品目です。
百貨店で売っているようなおせちに入った金柑はなかなか凝った味わいのものが多いです。 侮るなかれ。

里芋の意味

里芋には小芋がいっぱいつくので、子宝に恵まれるようにという子孫繁栄の意味があります。
関西でお雑煮に入れるカシライモなんかも同じですね。

八ツ頭の意味

八ツ頭は芋の中でもたくさんコイモをつける芋です。子孫繁栄を願うとともに八の字が末広がりで縁起のいい文字です。

数の子の意味

数の子 魚卵系の品目はこんなにたくさんの子孫が増えますようにと、子孫繁栄の願いがあります。
数の子は字面自体もたくさんのこどもという意味を持っているので二重に縁起が良いです。
里芋よりさらに子だくさんのイメージ。一族繁栄を願って。
数の子は元々はカドの子。カドはアイヌ語のニシン。 ニシンの卵巣はふたつあり、これを二親にかけて、ふた親が元気であるのでこどもがたくさんできるという意味のつながりがあるそうです。

いくらの意味

いくら 数の子と同様に子孫繁栄の意味があります。
いくらも洋風おせちと和風おせちでは味付けが違います。中華おせちにも入っていますが、こちらもまた違った味わい。使うお酒も違いますしね。
魚卵はコレステロールもプリン体も多いから控えているという方もおられるかもしれません。
痛風の方などは特に。
でも、最近の報告ではいくらにはほとんどプリン体は含まれていないそうです。間違ったイメージが広まっています。

昆布巻の意味

昆布巻 昆布=よろこぶ。おせちでなくとも定番のしゃれですね。
ダジャレとしては最低レベルですが、こういった古典ダジャレは滅びることはないでしょう。 2100年でも昆布=よろこぶでしょう。きっと。
昆布巻きは巻物に例えて、文化の繁栄を願う意味も持ち合わせます。

伊達巻きの意味

伊達巻き 伊達巻は巻物に例えて、勉学の向上や文化の向上を願います。
忍者か!?
伊達巻きの元はカステラかまぼこだったという説もあります。 かまぼこ作りは卵白だけを使って、どうしても卵黄が余るので、黄身を使うために作り出された食べ物だともいわれます。

たたき牛蒡の意味

たたき牛蒡 牛蒡自体、昔から体に良い効果が知られており、無病息災の願いがこめられています。
地に張る根っこなので、家の基礎がしっかりして未来永劫安泰であるようにという願いも籠められます。
冷凍おせちは繊維ものがちょっと不得意なので、たたき牛蒡がおいしいおせちは冷凍技術が高いといえます。

ちょろぎの意味

ちょろぎはシソ科植物の塊茎。縁起が良い理由は当て字によります。
千代呂木または長老喜などという字を当てます。梅酢で赤く色づけしたものが多いですが、白い塩漬けもあります。
赤くて目立つので、お重がパッと華やぎますね。
ちょろぎが黒豆に添えてあることが多いのは、甘い黒豆を食べたあと酢で口をさっぱりさせるため。 お寿司のガリと同じような役割を担っています。 ちょろぎにはオリゴ糖も多いので腸内環境を整えるのにも一役買ってくれます。

紅白なますの意味

紅白なます おせちには欠かせない紅白なます。
元々、紅白は祝い事のしるし。それに加えどちらも根菜なので家の土台が根を張るようにしっかりっして栄えるという願いもこめられます。

鯛の意味

鯛はご想像通り「めでたい」です。
おせちでは鯛の子もよく食べますね。

ブリの意味

ブリは出世魚であることから、出世するように願いを込めて。


トコブシの意味

トコブシはおせちに限らず節句の神饌です。別名がフクダメであることから福が溜まることにもかけています。


かちぐりの意味

勝つ栗です。縁起物です。


お多福豆の意味

これも字のとおり。福がたくさん舞い込みますようにとの願いを込めます。


橙の意味

家が代々繁栄していくようにという願いを込めて。


レンコンの意味

レンコンにはたくさん穴が開いているので先が見通せる一年に。先見性があるように。


(参考 和食の常識Q&A百科他)