おせち料理の盛りつけには慣例というか作法のようなものがあります。
個人的センスに任せてたくさんの種類の料理を重箱に盛りつければ、
本当に料理センスを身につけた方なら良いかもしれませんが、普通はむちゃくちゃになってしまいます...。

おせち料理の盛りつけパターン

おせち料理の一の重にはお屠蘇と一緒に食べる黒豆、田作り、かずのこ、前菜にあたるかまぼこ、伊達巻きなど品数が多いので、個々の料理を四角くまとめる市松模様にもる、市松という詰め方が良いとされます。


具体的には、汁気のある黒豆を小ぶりの器に入れ中心に置くとバランスがとりやすいです。
中心をまず決めるというのが大切です。
左奥にかまぼこ、横に伊達巻きを味が混ざらないように葉蘭で仕切ります。
右奥に昆布巻き、田作り、かずのこ、えびの炒り煮を詰めます。この時隣同士の色が重ならないように、必要なところや空間に松を添えます。
葉蘭で仕切って栗きんとんを詰めて、すき間や色のほしいところに千両をあしらいます。


二の重には、酢の物と煮物や焼き物なども詰めます。
二の重では斜めに仕切って盛る手綱という詰め方を説明します。一列の太さは均等でなくてかまいません。この詰め方は枡詰め、枡かけとも言います。


まずは汁気のある紅白なますを小鉢に入れ左手前に置きます。
右奥に他の酢の物を詰めて角を決めます。斜めに詰めていくので最初に対角を決めると詰めやすくなります。
次に魚の照り焼きや、煮物を詰めます。仕切りには葉蘭を使います。
最後に彩りとバランスを見て、笹を飾ります。
この料理と直接関係のない緑が見た目をかなり左右します。

おせち三の重には、煮物やメインとなる料理を詰めます。お煮しめ、牛肉の八幡巻き、鶏の松風焼きなどがあります。
お煮しめは品数が多いので、それぞれの料理を交ぜて盛る乱盛りや個々に盛る市松に詰めることもできます。
色のアクセントになる人参は、バランスを見て散らします。あれば、絹さやや松葉銀杏(ぎんなんを刺した松葉)などを添えると、いっそう華やかになります。
ここでも緑が大切ですね。


最近のおせち料理は核家族化も繁栄して、三段重が多くなっていますが、
本来は四段が正式。
一の重に黒豆・数の子・田作りなど基本的は三ツ肴を。
二の重に、口取り。甘いものが多い。
三の重には焼き物や海のもの。
与の重に煮物や山のもの。
五の重は控えの重。最初は空っぽです。さらに増えて行きますよという余裕の象徴です。

おせちの盛り付けを華やかにするために添える植物など

南天
赤い実が目に鮮やかな南天は、難を転じるにかけた縁起物です。


シュッシュッとした葉の松は、常緑で樹齢がながいので長寿の象徴とされています。そのまま飾るか、黒豆やぎんなんを刺して飾る使い方があります。

椿
椿の葉は、光沢がありつるつるした葉で料理にピカリと光彩を添えます。

裏白
裏白は、裏が白いことから潔白を表します。左右の葉が対なので夫婦円満の象徴ともされています。他に長寿を願うなどおめでたい意味が多くあり、祝い事全般に使われています。
鏡餅の下にも敷きますね。



笹は、そのまま飾りとして使ったり、大きい笹は笹舟にして料理を盛ったりします。葉には殺菌力がありおせちの傷むのを防いでくれます。

葉蘭
葉蘭は、香りのよい細長い葉で、一枚そのままや切り目をいれて仕切りや敷物、飾りに使います。


菊の花は長寿を表すおめでたい花です。葉は彩りとして使います。

千両、万両
共にお正月の縁起物です。光沢のある葉と鮮やかな実が鮮やかさを飾ります。千両は葉の上に実がつき、2枚の葉が茎に向かい合ってつくのに対し、万両は葉の下に実をつけ、葉が互い違いについています。
千両・万両・百両・十両の違いを言えるひとはなかなかのツウです。